累計売上500万部というとんでもない記録を打ち立て、実写映画化もされた百田尚樹さんの大ヒット作「永遠の0」
なんとなく「神風特攻」をテーマにした物語くらいということしか知らない、という方も多いのではないでしょうか。
しかしこれは戦争についてぼんやりとしか知らない僕のような人間も、改めてその悲惨さと恐ろしさを学ぶ必要性があると感じさせてくれる一冊です。
過去にどのような歴史があって今があるのかということを理解する上でも、日本人なら読んで損はないと言うことができるような作品。
またストーリー的にもとても面白く、600ページ以上ありますがどんどん引き込まれるので一気に読めてしまうのも魅力的です。
今回はそんな「永遠の0」について、その魅力を深掘りながら紹介していきたいと思います!
「永遠の0」に興味があり、この作品についてもっと知りたいと考えている方にぜひ読んでいただきたい内容です。
それでは早速いきましょう!
小説「永遠の0」のあらすじ
【あらすじ】
「生きて妻のもとへ帰る」日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!(引用:amazon)
小説「永遠の0」の魅力
「戦争」を知る機会に
この作品の大きな魅力の一つはなんと言ってもここにあると言えます。
物語は戦争に参加した男たちへのインタビュー形式で物語が進んでいくのですが、その中で戦争当時の日本軍と零戦の躍動と敗戦までの歴史を追体験することができます。
実際の戦場での過酷な経験や空の上での戦闘の様子が目に浮かんでくるかのような描写がなされます。
また今では考えられないような時代や価値観の中、命懸けで国や家族のために戦うパイロットの姿や内面が描かれます。
「十死零生」が分かっている中、覚悟を決めて出撃していく者たちの姿には、胸が強く締め付けられること間違いなし…
戦士の内面にまで影響を与える戦争の悲惨さをまざまざと感じることができます。
戦時下の日本軍の愚劣さ
この作品を通じて、かつての日本軍のどうしようもなさに驚かされることも間違いなしです。
それは戦闘における作戦の杜撰さや非合理性などはもちろん、兵士の扱い方にまで現れます。
自らの出世ばかりに苦心し、兵士を駒としか見なしていない軍上層部の人間のあり様はあまりにひどく、読んでいて胸糞悪い気持ちにすらなります。
このような人々のもとで多くの若い命が奪われたと考えると、とてもやるせない気持ちにならざるを得ません。
そんな描写からやはり戦争はやはり愚かなものであるということを逆説的に学ぶことができるのはこの作品の魅力の一つであると言えるでしょう。
家族、国を守るために戦う男たちの思い
人間は自分以外の何かを守るためにここまで強く戦うことができること、他者への想いが人を強くするという事実をずっしりと感じることができます。
こう書くとなんだか胡散臭くて安っぽいような感じもしてしまいますが事実、兵士の多くは本気で国や家族のために戦っていたということがわかります。
今の日本があって、私たちがこうして当たり前のように毎日を生きられるのは戦争を戦った人たちのおかげなんだなと否が応にも感じさせられます。
僕自身は右翼思想や愛国者などとは無縁の人間ですが、それでも日本人として生まれた以上この作品は読んでおいて損はないと感じました。
そして目の前にある日常における当たり前や小さな幸せの尊さとありがたみを見出すことができるようにもなれる力がある一冊です。
ちょっとしたミステリー要素
「誰よりも命を大事にした男がなぜ特攻に志願したのか」
という作中一番の謎が物語が進むにつれて徐々にわかるのも面白いです。
ここではミステリーのような謎解き要素も少し感じることができます。
周囲の人から全く違うさまざまな評価を受ける宮部の本当の姿は一体どのようなものなのか。
そして宮部が特攻での死を受け入れた背景が明らかになる場面はなかなかに衝撃的です。
妻と娘のため、過酷な戦争の中でも生き抜いてきた彼が最期に残そうとしたものは何だったのか。
ここは是非多くの方に実際に読んでいただきたいです…
まとめ
今回は「永遠の0」のあらすじと魅力について紹介させていただきました!
日本の小説の歴代売上ランキングでも上位に入るのも頷ける面白さがあります。
またそれだけでなく「戦争」というものを知ることができ、日本人ならぜひとも一度は読んでおきたいような一冊です。
この作品を通じて、目の前にある日常における当たり前や小さな幸せの尊さとありがたみを感じることもできる、そんな魅力をも持ち合わせているような作品。
まだ読んだことがないという方はぜひ一度読んでいただければと思います。
この記事が、皆さんが「永遠の0」にさらに興味を持ち、実際に作品を読んで心動かされる経験をするきっかけとなれば幸いです。