2015年の直木賞を受賞し、本屋大賞第2位にも輝いた西加奈子さんの「サラバ!」
又吉直樹さん、椎名林檎さんなど多くの有名人にも絶賛されている一冊です。
作中の「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」という言葉の通り、
自分の信じるものを確認するため、これから人生に迷った時に何度も読み返したくなるような作品です。
人生このままでいいのかと悩んでしまった時に読むと、
そっと寄り添って一つの道を提示してくれるような力を持つと同時に、西加奈子さんの魅力がこれでもかというほど詰まった一冊です。
今回はそんな「サラバ!」のあらすじと魅力を紹介していきたいと思います。
それでは早速いきましょう!
「サラバ!」のあらすじ
「他人からどう見られるか」を気にし、周りに合わせてばかりの歩(あゆむ)。
歩は何事にも受け身で「自分」というものを持たない。
そんな彼には「変わり者」の姉と明るく元気な母、物静かな父という個性豊かな家族がいる。
歩はその家族と共にイランやエジプトなどの海外を含めた、様々な環境で暮らすことになる。
行く先々で出会う人々や個性的な家族から影響を受けながら歩は大きくなっていく。
時に挫折や絶望を経験しながらも、歩が精神的に成長し、自らの大切なものを見つけるまでの半生が描かれます。
「サラバ!」の魅力
「人生」や「価値観」について考える機会となる
この作品の根幹はここにあると言っても過言ではないでしょう。
登場人物の姿から、自らの人生や生き方について深く考える機会を与えてもらうことができます。
幼い頃から「自分の軸」が無かった歩が、大人になってようやく「自分の大切にしたいもの」を見つける場面はとても印象的。
また登場人物それぞれが自分の信じたもののため、懸命に生きる姿にも目を奪われます。
周りから見たら変わっているものや理解されにくいものであってもそれを信じて力強く進んでいく姿からは、自分もそのように生きていくための勇気を大いにもらえます。
作品のキーパーソン「姉」
そして自分の信じるものを見つけるため、必死にもがき続ける歩の姉の姿も印象に残ります。
人生における自分にとっての正解、「幹」となるものは自分にしかわからないものです。
それを見つけ出すため、人生で試行錯誤していくことを肯定してくれるようなメッセージ性が彼女の生き様にはあります。
姉の「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」という言葉の真意を物語を通して味わうことで、自らの人生のプラスになること間違いなし。
「自分」がなかった歩が自らの人生で何を大切にしていくことに決めたのかは、ぜひ本書を読んで確認していただきたいです。
いろんな国を旅行した気分になれる
幼少期のテヘランでの生活、小学校の時のエジプトでの生活の様子が描かれた部分を読んでいる際は、異文化での生活を体験した気分になれるのもこの作品の魅力です。
作者の西加奈子さん自身がイランのテヘラン生まれという過去を持っているということもあり、とても体験に即した内容になっています。
まるで現地に降り立って実際にその土地や人々の様子を目にしたり、あたりの匂いを感じることができるような体験をすることができます。
旅行が好きだったり、異国の文化や習俗に関心があるという方は読んでいて楽しい気持ちになれること間違いなしです。
様々な「マイノリティ」への理解
この作品では社会や国籍、性的指向や宗教などにおける少数派や変わり者が随所で登場してきます。
こうしたいわゆる「マイノリティ」にある存在への見方や対応の仕方について、登場人物たちの様子から考えさせられます。
少数派に属する人々だからこそ周りの大勢の人と同じようになれずに苦悩することもあれば、逆にそうした人にしかない救いや楽しみといったものが描かれるのが印象的。
自分がそうした「マイノリティ」になった場合の時のことなどを想像しながら物語を読み進めていくことで、また違った楽しみ方をできるという魅力があります。
まとめ
今回は西加奈子さんの「サラバ!」のあらすじと魅力を紹介させていただきました!
異文化や異人種との交流を通じて、自らの人生や価値観を見つめ直すきっかけとなってくれるような名作です。
- 「自分の”軸”を持ちたい」
- 「人生にどことない不安を感じる」
- 「不安な人生を生きる勇気をもらいたい」
そんな方にはぜひ一度本書を読んでいただきたいです。この作品がそんなあなたのある種の「道しるべ」になってくれること間違いなしです。
今回の記事が、皆さんが「サラバ!」の魅力を感じて実際に本書を読み、自らの人生について考えるきっかけとなれば幸いです!