【心揺さぶる”優しい物語”】「3月のライオン」その魅力と名言をご紹介!

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現在までに16巻が刊行され、アニメ化や実写映画化もされた羽海野チカさんの「3月のライオン」

将棋をテーマにしつつも、一人の少年が周りの人との関わりを通じて成長していく様を丁寧に描いている作品です。

芸能人にもファンが多く、俳優の神木隆之介さんや本田翼さん、音楽家の米津玄師さんやスガシカオさんなどが「3月のライオン」の読者と公言しています。

今回はそんな「3月のライオン」のあらすじと魅力、また作中に登場する名言を紹介していきたいと思います。

それでは早速いきましょう!

「3月のライオン」のあらすじ

桐山零(きりやまれい)は交通事故をきっかけに家族をはじめ全てを失った。
孤独な零はただひたすらに将棋に打ち込み、史上5人目の「中学生プロ」になる。

そんな彼はある日、あかり、ひなた、モモの三姉妹と出会う。
彼女たちと接する中で、零は失っていた心の「あたたかさ」を次第に取り戻していく。

一度は全てを失った零が、将棋や三姉妹を含めた様々な人との関わりを通じて、

無くしていたものを少しずつ取り戻し、さらには人間的に成長していく姿が丁寧に描かれます。

「3月のライオン」の魅力

人が何かを取り戻していくあたたかさと感動

将棋がテーマの物語ですがこの作品の本質はそこではなく、あくまで「人間関係を通じた精神的な成長」にこそ「3月のライオン」の本質があります。

3月のライオン」は主に将棋界、川本家、学校の3つの場面が交互に切り替わりながら進んでいきます。

それぞれの環境で属性が違ったさまざまな人たちと交流をしながら、零は失ったものを取り戻していくのですがその様子が堪らないんですよね…

そこで以下ではこの3つの場面ごとにそれぞれの特徴や見るべきポイントを紹介していきたいと思います。

将棋界

零が棋士として戦っていくことになる将棋界。

ここでは主にライバルや先輩棋士との交流が描かれます。

そんな中で登場してくる棋士の面々がとても魅力的です。

良く言えば個性的な集団、悪く言えば変人ばかり笑

それでも棋士それぞれの魂や人生観のようなものをその言動や将棋から感じることができます

本当に様々な思いや事情を抱える棋士たちが登場するため、自分に近くて共感できるような人物を見つけて楽しめるのも「3月のライオン」の魅力の一つです。

以下で代表的な棋士たちを紹介します。

二階堂

自称零との「心友」であり、永遠のライバル二階堂晴信。

超お金持ちのおぼっちゃまでとにかく真っ直ぐで元気がいいキャラクター。

棋士の中では零と一番近い距離で接する彼は、零にとって大切で必要不可欠な存在となっていきます。

公式戦でこの二人が当たってバトルを繰り広げる様は毎度笑いもありながら、胸熱な展開の連続!

しかしそんな彼は生まれつき体が弱く、将棋の盤上でしか人と対等になれないという面も持ち合わせます。

そんな二階堂が物語を通じて成長していく姿も必見です。

島田さん

零や二階堂の師匠でもあり、とりわけ距離が近い存在である島田さん。

一言で言えば「努力の人」

自分では特別な才能はないというもののコツコツと積み重ねてA級にまで上り詰めた実力者です。

彼の姿からは努力を続ける大切さを改めて学ぶことができます。

宗谷名人

作中最強棋士である宗谷名人。

ほとんどのタイトルを保有している圧倒的な存在です。

「天才」のイメージの例に漏れなく少し変わったところがあります。

それだけに天才特有の孤独を感じることも多い存在。

柳原棋匠

作中でも最高齢でもなお戦うベテラン棋士柳原棋匠。

長きにわたって将棋プロとして戦っていることもあり、それだけ多くの人の思いを背負っているような存在。

託された思いを胸にのたうち回るように必死に喰らいつく様子には「漢」が宿ります。

羽海野チカさんの作品ではこうしたかっこいい高齢のキャラクターが描かれ、その世代特有の感情を垣間見ることができるのも特徴的です。

学校

一度は将棋に専念するため進学しなかった零ですが、後悔や後ろめたさを残さないため、一年遅れで高校に入り直します。

主に担任の林田先生のサポートを受けながら、徐々に学校での友達や居場所を見つけていきます。

かつては友達が一人もおらずひたすら孤独でいた零が、部活などの「当たり前」の学校生活を送れるようになっていく様子は、読んでいて胸が熱くなります…

そんな中で特に先生の言動からは人間関係の上での気づきをもらえることも多いです。

人との関わりの温かさやありがたみを改めて確認することができるようなパートです。

川本家

主人公の零と同じくらい「3月のライオン」に無くてはならない存在なのが、川本家の三姉妹です。

この三姉妹は零とは川を隔ててとても近い距離同士で暮らしているご近所さん。

3人全員がもれなくかわいらしく、登場する度に癒されます。

長女はみんな大好き聖母あかりさん。

とてもやさしくて家族思い。しかしその分責任を感じ過ぎてしまうこともある存在です。

次女はいつも元気いっぱいなひなた。

太陽のようにあかるいですが、その分周りに迷惑をかけまいと強がり、時には一人で泣いてしまうこともある存在。

三次は大天使モモちゃん。

「小さい女の子」全開のキャラクターで、登場する度に癒しをもたらしてくれます笑

また川本家のご飯やお菓子がとてもおいしそうなのも「3月のライオン」の魅力の1つです。

零はこの三姉妹との交流を通じて、自らの新しい「居場所」を見つけていきます。

しかしこの三姉妹もいろいろな事情を抱えています。

母を早くに病気で亡くした上、父が三姉妹を置き去りにして出ていったという辛い過去があります。

その上次女のひなたが学校でいじめを受けるなど、いくつもの試練が彼女らを襲います。

そんな時に零はどのような対応を取るのか。

今まで与えられるばかりだった三姉妹に対して、次は頼られる存在として自分にできることを少しずつこなしていく姿が印象的。

こうした困難に対して、零と三姉妹がそれぞれ支え合って問題に立ち向かい、成長していく姿には胸が熱くなります。

ひなた

また零にとって特別大切な存在となるのが次女のひなた、通称「ひなちゃん」です。

はじめは一方的に零が救われるだけだったのが「いじめ」や受験の時には一番近くで支えたことをきっかけに、二人はお互いにとって「大切な存在」となっていきます。

零は人間のあたたかさだけでなく、それ以上のものを感じさせてくれる存在をひなちゃんとの交流から見つけていきます。

話が進むにつれて、ゆっくりとゆっくりと二人の関係が深まっていく様子を見ていると、とてもあたたかい気持ちになることができます…

「いじめ」について考えさせられる

5巻あたりからひなちゃんの学校でのいじめが描かれるのですが、そこから「いじめ問題」について考えさせられます。

この問題の複雑さやえげつなさがありありと描かれるのが印象的。

加害者と被害者にとどまらず、その家族や周りの生徒や教師たちにまで関わる、大きくかつ厄介な問題であることを実感することができます。

この「いじめ問題」についてこれほどまで深く、詳細に描いた物語は他にないのではないかと思います。

気づきをくれる言葉たち

人間としての成長や人間関係について描かれているこの作品では、読んでいてハッとさせられる言葉に出会うことができます。

一人で辛い時や現状になかなか希望を感じられない時なんかに読み返したくなる言葉で溢れているんですよね。

以下ではそんな言葉の中でも、個人的にグッときたものをご紹介していきたいと思います。

「3月のライオン」の名言

一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ でないと実は 誰もお前に頼れないんだ

林田先生のハッとさせられる言葉。

責任感が強い人ほど、何か困難にぶつかった時には他人に迷惑をかけないようにと、一人でどうにかしようとしてしまいがちです。

しかし実はそれでは問題の解決に繋がらないだけでなく、周りの人の「助けてあげたい」という気持ちを無下にしてしまうことにもなってしまいます。

辛い時こそ自分一人で抱え込んでしまうのではなく、周りに目を向けて助けを求める。そして次に相手が困っている時には、今度は自分が力になってあげればいい。

実は世界はそのようにして回っているということを再確認させてくれる言葉です。

「案ずるより産むが易し」って俺の経験上だと8割方真実なんだよな

これも林田先生の言葉です。

何事も頭の中だけで考えているだけでは、事態は一向に前には進みません。

何かやってみて初めて、問題解決の糸口を見つけられるということも多いです。

「うじうじ考えているぐらいなら、いっそ一回行動してみよう」

そんな気持ちにさせてくれ、前に進むことを勇気つけてくれるような言葉です。

結果は大事だけどな 桐山━━人に伝わるのは 結果だけじゃない 世界は結果だけで回ってるんじゃないんだよ

またまた林田先生の言葉です。
先生は普段おちゃらけている分、こういう良いことを言った時に印象に残りやすいです笑

人は結果で物事を判断しがちです。
それは当たり前のことでもあり、疑う余地がないのも事実なのかもしれません。

しかしその過程を近くで見ている人にとってはどうでしょう?

その人はたとえ結果が出なかったとしても、決して「無駄だったね」とは言わずに、認めてくれる姿勢を見せてくれるに違いありません。

「結果重視」のこの世の中について、普通の考え方とは別の角度から考えさせてくれるような言葉です。

「縮まらないから」といってそれがオレが進まない理由にはならん「抜けない事があきらか」だからってオレが「努力しなくていい」って事にはならない

島田さんが宗谷名人を思いながら言った言葉です。
真面目で努力家な島田さんの「らしさ」をありありと感じることができます。

たとえ手が届かないような遠い存在と相対しても、自分のやること、やるべきことが変わるわけではありません。

「よそはよそ、うちはうち」

という言葉がありますが、これを自分の成長の過程について当てはめるのは意外と難しいです。

他人と比べず、自分自身に向き合うことの大切さを教えてくれるような言葉です。

「一寸先は闇」って言葉がメジャーだけど、その逆もまた充分起こりうるのだ「3分先は光」みたいに

かつては孤独の真っ只中にいた零が、いつの間にか大好きな人に囲まれ、幸せを感じていることに気づいた時の言葉です。

その時は深い闇の中にいるような絶望を感じていたとしても、

どんなことがきっかけでひょいとその状況がひっくり返り、幸せや希望に満たされるかなんてことは誰にもわかりません。

いつ良いことが起きて、人生が好転してもおかしくは無いのだから、諦めずひたすら前を向いて進み続けようと思わせてくれるような言葉です。

きっとこんな風に しつこくてあきらめきれない気持ちを ”向いてる”って言うんじゃないかな

大好きな和菓子作りやその経営について考える際にひなちゃんが言った言葉。

私たちは「向き不向き」を客観的に評価できるもので判断することが多いです。
テストの点数やどれだけ数字を出すことができたか、などなど。

しかし本当に大切なのは、自分がどれだけそれが好きで続けられるかということもあります。

暇さえあればやってしまうこと、誰かに言われたわけでもないのにこだわってしまうようなことの中でこそ、自然と技量的にも成長することができ、他者との差別化をはかることが可能だったりします。

傍から見たら「何が楽しくてそんな一生懸命にやっているのかね」と思われているようなことにこそ、

実は自分の才能が隠されているということを教えてくれるような言葉です。

まとめ

今回は「3月のライオン」の魅力について紹介させていただきました!

将棋をテーマにしながらも、人が大切な何かを取り戻していく様子を描いてる作品です。

  • 「あたたかい気持ちになりたい」
  • 「今現在、とても苦しくて希望を見出せないでいる」

そんな方にぜひ読んでいただきたい作品です。

この作品を通じて、自分も零をはじめとする登場人物と同様に、救われたような気持ちになることができます。

今回の記事が、皆さんの「3月のライオン」の理解や関心を深め、実際に読んで見て心動かされる経験をするきっかけとなれば幸いです!

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「マンガPark」は白泉社が運営しており、「3月のライオン」が他より多い13話を試し読みができるのでまだの方はチェックしていただければと思います。

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