歴史や哲学に興味がある方なら、一度はその名を耳にしたことがあるニーチェ。
あまりに革新的すぎる考えのため、本人が生きていた当時は周りから全く受けれられずに日の目を浴びることがなかったのが彼の哲学です。
そんなニーチェの教えは彼の死から約120年経った今だからこそ、ようやく理解されると同時に私たちに気づきを与えてくれ、とても学ぶ価値があるものになっています。
彼の教えの根幹は「圧倒的な“生”の肯定」
非常に力強く、今を生きる私たちにとてつもない勇気とパワーをくれるような内容です。
しかしそんな彼の哲学はいかんせん専門用語が多くて難しい…
そこで今回は、そんな一見取っつきにくいニーチェの教えをわかりやすくご紹介していきたいと思います!
- 「生きる意味」を探している
- 自己肯定感の低さに悩んでいる
そんな方にぜひチェックしていただきたい内容です。
それでは早速いきましょう!
ニーチェ思想を簡単にまとめてみた
「神は死んだ」
ニーチェの中でも一番有名な言葉である、
「神は死んだ」
これは当時においては本当に衝撃的な意味を持つものであり、なかなか人々には受け入れられないものでした。
なんたって当時はキリスト教を信じることが当たり前の世界。
今でいうと「お金なんてただの紙クズだ!」と言いながら一万円札を破り捨てるようなものでしょうか。
こんなことを今やったら「何してんだ!?」と変な目で見られること間違いなしです笑
そんな今でいうお金のような、当時の精神的支柱であるキリスト教や神の存在を真っ向から否定したことが、ニーチェが歴史に深く名を残している要因でもあります。
これは、ニーチェがキリスト教によっては救われることがなかったという彼自身の経験にも大きく影響を受けているとも言われています。
こうして「神」を失った人々はこれからどうなってしまうとニーチェは考えたのか。
続きを見ていきましょう。
ルサンチマン
「ルサンチマン」とは簡単にいうと「嫉妬」のようなもの。
自分よりも身分が高い者やお金を持つ者、容姿が良い者に対して、劣等感を感じるようなことがこれに当たります。
こうした負の感情はいつの時代も人間について回るものです。
現在でも「勝ち組と負け組」といった考えがあるように、人はなにかと自分と誰かを比べ、そこに階級を見出そうとしてしまいがち。
こうしたものこそが、この「ルサンチマン」を生み出す要因であるとニーチェは説きました。
神を失い、ルサンチマンに陥ってしまった人類に救いはないのか。
そんな不安の中、ニーチェはさらに暗い未来を提示してきます。
ニヒリズム
それまでの「神」を失い「ルサンチマン」に苛まれた人たちは、「ニヒリズム」に陥ってしまうとニーチェは説きました。
このニヒリズムは「虚無主義」とも呼ばれ、人生に生きる意味や目的を見出せず、
「もはや生きている意味なんて無いよな…」
と人生に絶望してしまっている状態に陥ることを指します。
そうして人々は次第に無気力になっていき、ただ惰性だけで周りに流されて生きる「末人」になってしまうとニーチェは考えました。
末人となってしまった人の日常は何の楽しみや刺激もなく、ただ時が過ぎる中で老いていくのを待つだけという想像するだけでもとても恐ろしいものです。
ではこの最悪とも言える状態を回避するためにニーチェはどのように行動するべきだと考えたのか。
ここから彼の真骨頂であるポジティブな内容がようやく登場してくるので、続きを見ていきましょう!
「超人」になれ
毎日を無意味に生きる「末人」にならないために、ニーチェは人々に「“超人”になれ」と説きました。
これは別にスーパーサイヤ人みたいなあり得ない存在になれという意味ではありません笑
「超人」とは自分の生きる意味を自分で見出し、自らの人生の全てを肯定することができる人のこと。
ここでは自分の生きる意味を他者に決めさせず、自分の価値観に従って決めることが殊更大事になります。
たとえ他人からは白い目で見られようとも、自分がそこに価値を感じ、満足できるならそれでいいというのが印象的です。
この超人になることこそが、ニーチェの掲げる理想の人生像であるということができます。
神や宗教などの超常的なものに期待するのではなく、真理を自らの内に求めているのがニーチェの特徴的な点です。
昔はこうした考えはあり得ないものとされていましたが、今ではそんなに抵抗もないでしょう。
「個人」が重視される今の時代だからこそ、すんなりと理解することができるという側面があります。
そう思うと、やはり今学んでおいて損はない教えであると言うことができます。
「超人」になるための3ステップ
超人になるためのステップとしてニーチェが掲げたのが「駱駝(らくだ)」「獅子」「幼子(おさなご)」の3段階です。
『自分をひたすらに鍛えて(駱駝)強みを獲得し(獅子)、遊ぶように自由に価値を創造しながら生きる(幼子)』
なんだか今の時代、どこかの成功者が言っていそうな内容です。
やはり今の時代にとても合っているような考え方であると改めて思わされます。
そんな中でも「幼子」を最終段階に置いているのが印象的な点。
幼い子供は自分のやっていることに意味を見出そうとしたり、他人と競うようなことはしません。
ただ自分が楽しいから目の前のことに没頭し、何にも縛られずに自分の好きなように毎日を過ごします。
こうした状態にもう一度立ち返ることこそが、「超人」に近づくために必要であるとニーチェは考えました。
またその際、自分が為したことから得られる「魂が振るえるような悦び」も自分自身を肯定し、生きる意味を見出すのに役立ってくれるともニーチェは説きます。
やはり好きなことを好きな時に好きなようにやるというのが、理想の人生を送る上で大切になると言うことができます。
何にも縛られずに自由に生きることこそが「超人」となるためには必要不可欠です。
永劫回帰
ニーチェ哲学の代表的なもう一つの考えとして「永劫回帰」というものがあります。
これは仏教の「輪廻転成」とちょうど正反対のものと考えるとわかりやすいです。
死後の世界でより良く生まれ変わることに期待し、現世で徳を積むことを是とした「輪廻転成」
これに対して「永劫回帰」では、死んでも今生きている自分の人生が無限にループすると考えろとニーチェは説きました。
これは一見救いがないようでネガティブな内容にも思われますが、実際はとても前向きなもの。
というのもこう考えることにより、宗教や価値観など変に自分の外側に期待や依存することをやめ、現在のありのままの自分を全て受け入れて「今」を生きるしかなくなります。
なぜなら生まれ変わっても自分は自分のままなのだから。
死後なんかに漠然と期待するのではなく、今現在の自分がたしかに生きている目の前の現実を良くする方向に努力する。
このように「永劫回帰」は自分以外の何かに頼るのではなく、今この瞬間ありのままの自分を全肯定することで希望を見出そうとするものであることに気付かされます。
やはりそこは超ポジティブとも言える、非常にニーチェらしい考えであると言うことができます。
まとめ
今回は、今こそ学びたいニーチェの教えを簡単に紹介してきました!
「神の否定」から始まることでなかなか誤解させることも多いニーチェですが、その教えの根幹にあるのは圧倒的な「生の肯定」です。
今この瞬間の自分の全てを全肯定し、前へ進んでいく力をくれるような力がニーチェ哲学にはありますよね。
日々の中でどことなく不安を感じたり、どう生きればいいか迷った時に何度でも確認したいような内容です。
今の自分を全肯定し、ニーチェの言う「超人」になれるように心を強く持って目の前の毎日を力強く生きていきましょう。
今回の記事が、皆さんがニーチェを通じて、日々をより前向きに生きていける一つのきっかけとなれば幸いです!
ニーチェの教えが最も表れているとされる書籍「ツァラトゥストラ」
直に彼の思想に触れたいという方はぜひ。