映画の魅力の一つに、普通に生活していては決して出会えないような世界に触れることができるというものがあるでしょう。
それは視覚的な体験や楽しい時間はもちろん、まだ見ぬ価値観や考え方にも及びます。
そんな作品に触れると、自らの世界を広げられるような感覚を味わうことができます…
そうした経験を通じて、目の前の世界の捉え方が変わったり、自らの人生についても考える機会となってくれるのも魅力的。
そこで今回は、そんな内面の世界を広げてくれる映画7選を紹介していきたいと思います!
特に日本や現代に主流の考え方とは異なるものに触れられる作品からセレクトしてみました。
それでは早速いきましょう!
内面世界を広げてくれる映画7作品
愛と哀しみの果て
アフリカ大陸を舞台に展開されていく物語「愛と哀しみの果て」
アフリカ特有の価値観は、西洋的なものと大きく異なっているのを感じられるのが印象的です。
所有や未来に関心を示さず、ひたすら「今」を自由に生きることを重視する彼ら。
そんな彼らの姿からは私たちがつい見逃しがちな何かを感じられること間違いなしです。
サバンナなどのアフリカの大自然の美しい映像も必見の作品です!
フェアウェル
私たちは生きる中で自分がどうあるべきかなど「個人」を重視しがち。
それが今の時代と日本という土地においては当然の考え方です。
しかしこれもあくまで西洋近代的な価値観に基づく考えの一つであり、他の考え方もあるということに気づけるのがこの「フェアウェル」
中国のある家族の様子を描いた物語なのですが、その中で儒教のルーツでもある、先祖や家族などの「全体」を重んじる東洋的な死生観がとても印象的です。
一見不合理だけど、大きな繋がりの中の一部になれるという観点からは一理あるのかもしれない。
そんな風に考えさせられること間違いなしの作品。異なる価値観に触れたい方はぜひ!
アラビアのロレンス
第一次世界大戦においてイギリス人ながら、実際にアラブの独立軍を率いたロレンス将軍を描いた名作「アラビアのロレンス」
この作品ではイスラム教に基づくアラブ人の文化や考え方に触れることができます。
印象的なのが負傷した味方を助けようとするロレンスに対して、アラブ人が「彼はそういう運命なのだ」と見限ろうとするシーン。
イスラム教では全ては唯一神アッラーにおいてあらかじめ定められていると考えられています。
これはキリスト教の一派の予定説に似たものなのですが、今自分がどう動くかが大事だと考える我々はなかなか馴染めませんよね。
案の定、作中でもロレンスはこれを理解できず対立することになります。
そんなイスラムの価値観に触れられるような作品。アラブの広大で美しい砂漠の映像も素晴らしいのでそちらも必見です!
ベルリン・天使の詩
ヴィム・ヴェンダース監督の代表作の一つ「ベルリン・天使の詩」
ベルリンを舞台に、人間になりたいと願う天使ダミエルの視点を通じて展開されます。ダミエルは長年人々の生活を見守ってきましたが、サーカスの空中ブランコ乗りマリオンに恋をし、人間として生きることを選びます。
物語を通じて、人間として生きていることの素晴らしさや愛の永遠性といったテーマが深堀られていきます。観れば新しい考え方を獲得できるような作品。
モノクロとカラーの対比で天使と人間の世界観を視覚的に強調した、美しい詩的な映像も必見です。
ミッドサマー
北欧の美しい大自然の中、その土地特有の価値観に触れられるのがこの「ミッドサマー」
宗教的なものを描くのが特徴的なアリ・アスター監督の作品です。
人にはそれぞれ役目があり、それを終えたらこの世を去らなければならないという北欧信仰がなかなか衝撃的に描かれます。
「信仰」は外部の人間から見ると、時に恐怖の対象となるということをまざまざと感じさせられる作品。
鑑賞後はなんとも言えない嫌な感じが残りますが、そうしたものが嫌いじゃないという方はぜひ笑
アフターサン
11歳のソフィと31歳の父が、トルコのリゾート地で過ごした夏の思い出をソフィの視点から振り返る物語「アフターサン」
20年後、ソフィはその時の映像を見返し、当時気づかなかった父親の新たな一面を発見します。
独特な雰囲気の美しい映像と共に、父娘の関係性や記憶の再構築を通じて、とても考えさせられる作品となっています。
自らの親に対して思いを馳せ、また違った視点から見られるようになること間違いなしです。
黄桃の味
巨匠アッバス・キアロスタミの傑作でパルムドールも受賞している「桜桃の味」
まずはイランの様子を写した映像がとても新鮮。
あたり一面を砂漠で覆われた中、人々が普通に暮らす様子は日本では決して目にすることができません。
そんな中でも「生」の尊さを感じることができるような内容になっています。
人生に絶望して自殺を考える男が、その幇助をしてもらう人物を探す中で考えを改めることとなる様子が描かれます。
観た後は周りの世界や自らの命に対する捉え方をガラリと変えてくれるような力を持つ作品。
おすすめです。
まとめ
今回は、世界を広げてくれるような映画を紹介してきました!
日本で普通に生活する中では決して触れることのできないような世界や価値観。
そうしたものに作品を通じて間接的にでも触れられるというのはやはり映画の大きな魅力と言えます。
そんな体験をすることで自らの人生に「厚み」を持たせることができたりもします。
内面が変われば外界の見え方も変わってくるというのが面白いところ。
今回紹介した作品を通じてそんな経験をしていただければと思います!
この記事が、みなさんが世界を広げる映画作品に出会い、内面から人生を豊かにする一つのきっかけとなれば幸いです!