毎年一般小説やエンターテインメント、文芸小説など、あらゆるジャンルの作品から決定される文学賞の一つ「直木賞」
とりわけ大衆娯楽要素が強い作品が選ばれるのが特徴的です。
と言ってもエンタメに振り切っているというわけでもなく、ちょうど本屋大賞と芥川賞の中間といった印象。
そんな直木賞ですが、1955年から始まっただけあって受賞作の数が膨大です笑
もう受賞作が数え切れないほどあるため、気になったとしてもどれを読めばいいか悩んでしまうという方も多いはず。
そこで今回は、直木賞に選ばれた作品の中から個人的におすすめの作品を紹介していきたいと思います!
心動かされる小説や美しい作品を探しているという方に、ぜひチェックしていただきたい内容です。
それでは早速いきましょう!
歴代直木賞おすすめ作品まとめ
容疑者Xの献身
【あらすじ】(引用:Amazon)
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
東野圭吾さんの代表作「容疑者Xの献身」
彼の魅力をこれでもかというほど味わうことができる作品です。
数学の要素が組み込まれたトリックに痛快な伏線回収、そして心揺さぶられるラスト。
その中で天才物理学者と天才数学者の頭脳戦が繰り広げられるというたまらない展開…
彼の作品を読んだことがないという方は、これから読み始めていただければと思います。
読後はその世界観の虜になること間違いなしです笑
サラバ!
【あらすじ】
僕はこの世界に左足から登場した――。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
引用:amazon
直木賞だけでなく、本屋大賞第2位にも輝いた西加奈子さんの代表作「サラバ!」
又吉直樹さんや椎名林檎さんなど、多くの有名人にも人気のある一冊です。
作中で印象的なのが「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」という言葉。
この言葉の通り、自分の「信じるもの」を確認するため、これから人生に迷った時に何度も読み返したくなるような作品です。
人生このままでいいのかと悩んでしまった時に読むと、そっと寄り添ってくれ一つの道を提示してくれるような一冊。
「自分」を見失いそうになった時にぜひ読んでいただければと思います。
関連:【人生の”軸”と出会える】「サラバ!」のあらすじと魅力をご紹介
銀河鉄道の父
宮沢賢治の生涯を父の視点から描いた物語「銀河鉄道の父」
菅田将暉さん主演で映画化もされました。
日本の文学界はもちろん、それ以外のジャンルのクリエイターたちにも多大な影響を与えている宮沢賢治。
そんな彼の作品がどのようにして生まれたのかがその人生と共に描かれます。
これを読んでからだと、お馴染みの「雨にも負けず」や「永訣の朝」の見え方が変わってくるのも面白いところ。
宮沢賢治好きにはかなりおすすめの一冊です。
蜜蜂と遠雷
【あらすじ】
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。
天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。(引用:amazon)
作品を簡潔に表すと、ピアノコンクールの世界で若き天才たちが競い合う「音楽青春群像劇」
ピアノの世界について知ることができると同時に、それぞれの「天才」が抱える孤独や葛藤が描かれます。
その中で登場人物がみな自らの“拠り所”や“弾く意味”を見つけ、成長していく姿が印象的。
そして何より聞こえないはずの音楽やピアノの演奏の描写が、恩田陸さんの見事な筆致で美しく描かれます。
そこは一読の価値ありなので、ぜひ一度手に取っていただければと思います。
理由
宮部みゆきさんの代表作「理由」
彼女の得意とするヒューマンドラマとミステリーが結びついた作品です。
ストーリーは家族愛、親子の絆、運命、そして愛情について深く考えさせられます。
「理由」は宮部みゆきさんの作品の中でも高く評価され、とりわけ家族の重要性や人間関係の複雑さを描いた作品です。
日本を代表する人気作家の魅力に触れたい方はぜひ。
下町ロケット
池井戸潤さんの代表作「下町ロケット」
テレビドラマや映画化もされた人気作品です。
ビジネス、家族、人間関係をテーマに、日本のビジネス界を描いています。
そんな中で主人公が困難を乗り越え、夢を実現する過程を追うのがたまらない作品。
また池井戸作品の特徴の一つである、ビジネス戦略や技術の発展、日本の製造業といった世界に触れられるのも魅力的。
王道の「勧善懲悪」もので読後はスカッとすることができるので、そんな体験を求めている方はぜひ。
何者
朝井リョウさんの代表作「何者」
登場人物たちが「就活」で葛藤する様子が描かれます。
そこからは現在の日本の就職活動の様子がとてもよく分かります。
その中で自己のアイデンティティの確立に揺れ動く若者独特の感情を感じられるような作品。
就活を控える学生はもちろん、あの時の感情や日本の現状を知りたいという方におすすめの一冊です。
海の見える理髪店
【あらすじ】
店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は……「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。
父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。
じんわりと心動かされる物語が集められた短編集です。
表題の「海の見える理髪店」の舞台は文字通り海辺に佇む理髪店。
そこでのやりとりを通じて、美しい海が目の前に浮かんでくるような体験をすることができます。
眺めているだけで不思議と心癒される海の不思議な力を感じることができるような作品。
父親の存在のあたたかさを感じたい時にぜひ。笑
鉄道員
浅田次郎の代表作「鉄道員」
実写映画化もされている人気作です。
物語では鉄道業界と鉄道員たちの生活、仕事、人間関係に焦点を当てられます。
主人公とその仲間たちが、列車の運行や鉄道の世界での出来事に携わりながら、仕事と家庭生活のバランスを取る様子が描かれます。
鉄道員たちは仕事に誇りを持ちながらも、家庭との関係を大切にしようと奮闘します。
そこからは人間模様や仕事への情熱、家庭との調和を感じられること間違いなし。
鉄道業界というあまり馴染みのない世界について知れるのも面白いポイント。
鉄道業界の魅力と鉄道員たちの姿に触れたいという方におすすめの一冊です。
火垂るの墓
野坂昭如さんの代表作「火垂るの墓」(ほたるのはか)
ジブリで高畑勲監督によりアニメ映画が制作されたことでも知られています。
第二次世界大戦中の日本を舞台に、貧困や飢餓、戦争による困難な状況の中で、信夫と節子の姉弟愛と生きる力が描かれます。
「火垂るの墓」は重いテーマの物語であり、戦争の悲惨さと人間の強さをまざまざと感じさせられます。
信夫と節子の過酷な日常生活と困難な状況での、勇気と固い絆には心動かされること間違いなし。
日本文学の中でも重要な作品の一つであり、日本人なら読んでおいて損はない一冊です。
まとめ
今回は、直木賞のおすすめ作品10選を紹介してきました!
直木賞の受賞作はやはり面白い作品が多いです。
そんな中でも個人的に特におすすめの作品をピックアップしてみました。
今回紹介させていただいた作品から、小説の面白さを存分に感じていただければと思います!
この記事が、皆さんが直木賞作品を選ぶ上での一つの参考となり、実際に読んで心動かされる体験をするきっかけとなれば幸いです!